どっちのドークショウ!(読書)

本とか、日常とか、あと本とかを紹介します。

『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』

こんにちは、マロです。 本日の一冊はこちら。

一流の人は、本のどこに線を引いているのか

土井英司 サンマーク出版 2016-10-17
売り上げランキング : 147
by ヨメレバ

いわゆる読書のススメ的な、”読書をするとこんないいことがあるから、もっとみんな読書しましょう”というよくある指南書ではなく、こちらは一歩進んで、”どのように読むか”について、そしてとりわけ小説などではなくビジネス書をターゲットとして、書かれています。

ちなみに、今回は電子書籍ではなく書店で見つけて、真ん中に一本線があるだけというシンプルな装丁のデザインと紙の質感に惚れて即買いしてしまいました。

まず、著者の土井英司さんの経歴から。 出版社での編集者やライターを経て、Amazon.co.jpの立ち上げに携わり、約1000冊の本の書評を手がける「アマゾンのカリスマバイヤー」。

Amazon退社後は独立をして、数々の著者にブランディングやプロデュースを行ってきた。 現在は有限会社エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役。 簡単に言うと書評家さんであります。

しかし、大胆にも著者は序盤に、「書評なんていらない」と書いています。えー!! 著者は読書をするうえで大切な点を述べられています。

「読者が主であり、本は従だ。その本から必要な部分を取り出し、自分の中に練り込んでいく作業こそが、読み手がやるべきことなのだろう。」

なるほど~。今まで私はいかに本の世界に入り込めるかを重要視していましたが、違うんですね。 「本から大切だと思うことを引っ張り出して自分の中に吸収する」ていうのが大事だと。

この本のざーっくりとした流れです。

 

 

1,線を引くことの意義

2,どのような本を選ぶべきか

3,どのように読むべきか

付録 著者のオススメ書紹介

 

まず1の線を引くことの意義のパート。 ついやってしまいがちな、「線を引くべきではない」ポイントについて言及されています。それは、既に自分が知っていることについて、「そうそう!だよねー!やっぱりわたしは正しかったんだ!」という箇所に引いてしまう、「自己陶酔線」。

ついこういう自分が知っている知識に出くわすとテンションが上がって、「どやぁ~」と引きたくなる気持ちは分かります。このブログで以前に紹介した、ジョージ・オーウェルの『1984年』にも、「最も優れている書物は、自分の知識を再認識させてくれる本だ」という箇所があります。 しかし、既に知っていることを確認したところでパワーアップにはなりません。

「線は、新しい発見や約に立った箇所、そして自分の考えと「ちがう」箇所に引くことで成長の糧となるのだ。」

 

次に、2のどのような本を選ぶべきかというパートでは、立ち読みで気付ける、11の読書戦略なるものが紹介されています。

その中で気になったのがまず、 「本のタイトルにだまされない」 タイトルは、あくまで出版社、編集者が「売れる」ために考えているので、タイトルが内容の全てではないですよ、とのこと。タイトルあくまで「キャッチ」ということですね。なのでタイトルだけで判断することはよくないと。

逆に、興味を惹かれないタイトルだとしても手にとってみると自分に有益な情報がたくさんあった、というケースもあるので、そこも気をつけるべきポイントですね。

もうひとつが、 「箇条書きに注目する」 最近よく見かけることが多いと私も感じるのですが、各章の最期に、その章で述べたことが箇条書きで簡単にまとめられている本がありますよね。「箇条書きにできる」ということは、著者がきちっと整理、分類できているということです。そして何より「具体的」であるはずです。ですので、箇条書きの部分をチェックすれば、パッと簡単にその本の情報が分かるのですね。

そして、3の「どのように読むか」で面白かったのが、 「流行のベストセラーから何を学ぶか」 著名な書評家の方には、ベストセラーは読むべきではないという人もいるようですが、著者はその意見に真っ向から反対しています。なぜなら、「ベストセラーからは、”なぜベストセラーになったか”の原因を学べるから」。

その答えはシンプルに、普段、本を読まない人たち、平たく言えば庶民の方の心をつかんだからだといいます。それはどのような知的レベルを対象に書かれているか、どのようにマーケティングされているか。 ベストセラーになっている、というのは「結果」です。そこから、なぜベストセラーになったのかの「原因」を探ることは、大きな学びとなるでしょう。もし仮に本の内容(中身)にその答えがなくても、本の売り方や売れ方(外側)に見つけられかもしれません。

 

といった具合に非常に読み物としても面白いし、これからたくさんの本と出合い、教養を深めていくうえで参考になる点が大いにありまして、 私もたくさん線を引きながら読んだ次第であります。笑   最後に、第一章に書かれていた著者の言葉を紹介して終わります。

書評や読書感想文など書く必要はない。たった一行でいいから、自分の身になる文章に線を引き、それを体にしみ込ませること。それができれば、その本は価ある一冊になる。
一流の人は、本のどこに線を引いているのか

土井英司 サンマーク出版 2016-10-17
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